UXを向上させるとSEOにも効果があるって本当?
SEOはブロガー、ライターの永遠のテーマです。検索エンジンを提供するGoogle社は検索順位を決定する要因を明確にしていません。答えの分からない手探りな状態で今日も我々はGoogleのアルゴリズムに挑み続けなければいけません。そんななか、「UXの向上がSEOに関係する」という噂がちらほら…。もしそうであるなら、改善できる点はとめどなく出てきますし、これに気づいたあなたのサイトは確実な成果を残すでしょう。今回はこの噂について解説していきます。
UXの基礎知識をおさらい
端的に言うとUXとは、そのサイトを通じてユーザーがする体験のことを言います。「User Experience(ユーザーエクスぺリンス)」の略で、そのまま「ユーザーの体験」ですね。
UXの例
例えば、あなたがECサイト。ネットショップのようなサイトを運営しているとしましょう。そこで商品を購入した時にユーザーが感じた「購入までがスムーズでネットショップなのに簡単だったな!」この体験こそUXです。
- 「レビューが充実していて、デザインもシンプルで見やすかった!」と感じた。
- 「検索結果がすぐ表示されて快適だった!」
- 「翌日には家に届き、今日のデートにくていけた!」
これらはすべてあなたのサイトを渡欧してユーザーが得た体験。UXです。
UXはWebだけじゃない!
UXはWebだけにとどまりません。
例えば車なら
エンジン音がなく静かで心地いい
例えばゲームなら
壮大なビジュアルに心躍った。ラスボス戦は苦労したが感動した
製品やサービスを通して経験・体験するものはすべてUXなのです。UXを考えて物を作るということは、ユーザーの気持ちを考えて作っているということになります。ユーザーがいろいろな体験をし、経験をし、楽しみ感動し満足できるものが「UXが高い」と言えます。
UXとSEOは関係あるの?
さて、本題の噂。UXを向上させれば影響するのか。結論から言いますと、「直接的に順位への影響があるわけではないが、UXの向上は結果的な順位上昇に影響する。」ということです。少し回りくどい言い方をしてしまったかもしれませんね。順を追って説明いたします。
GoogleがUXのSEO説を否定!
Googleのスポークパーソン『ゲイリー氏』は、2015年に開かれたビジネスイベントの場でUXについてこう述べました。「UXは検索ランキングを決める要素ではない。これからもUXがコンテンツよりも重視されることは決してないだろう。」この発言を鵜呑みにしろというわけではありませんが、Google側の発言なので決して無視できるないようではありません。
UXの向上って本当に意味がないの?
そうは言ってもUXの向上は重要です。UXはユーザーが得る経験、体験。感情ともいえます。一度原点に戻りましょう。私たちが検索順位を上げるにはどうする必要があるのでしょうか?PVを上げる、クリック率を上げるetc.
要するに、ページを見てもらい、また来てもらい、シェアしてもらったりすることが重要ですね。UXが高いということはこれらに大きく影響を与えます。見やすい、使いやすい、分かりやすいetc. そう評価されているページには人が集まります。結果、直接的でなくともSEOに影響が出るのです。
SEOに影響を与えるUXの要因とは
では、実際にどういったことを意識するとSEOにいい影響を与えることができるのでしょうか?以下では、UXがSEOに影響を与える要因を紹介していきます。
ユーザーの検索意図を満たした記事
検索意図に沿った執筆というのは、SEOを勉強しだして真っ先に聞くことでしょう。もし検索意図に沿っていなかったら「この記事では何も得られそうもない、違うサイトにしよう。」と、すぐにブラウザバックされてしまいますね。このユーザーの感情もUXです。検索意図に沿った執筆というのは、結局のところ満足いくUXを提供していることになるのです。UXがSEOに影響を与えているといえます。
見やすいページ、使いやすいページ
スマホの画面が文字だけで埋まってしまようなページ。ボタンなのか一目でわからないECサイト。小見出しを見るだけで大枠がつかめて理解しやすい記事。こうした見やすさ、使いやすさも、もちろんUXです。
Googleの評価ガイドラインに記載されている通り、品質を評価するため、使いやすさや見やすさを評価の対象に入れています。結局のところ言い方の問題になってしまいますが、UXのことを語っているととらえることもできますね。これもUXがSEOに影響を与えている根拠の一つです。
ページの読み込み速度
ページの読み込み速度はユーザーのクリック後の行動に大きく影響を与えます。Googleの調べでは、表示に3秒以上かかるモバイルページはその時点で53%のユーザーが離脱していることが判明しています。検索結果に影響が出ることは自明の理ですね。他ページのUXの解説例でも頻出しますが、ページの読み込み速度が遅いことでユーザーが感じることもUXの有名な一例です。あなたならページの読み込み速度が遅いページに対してどう思うでしょうか?筆者は少しイライラしてしまいます。そしてブラウザバックするでしょう。
レスポンシブ対応の徹底。モバイルへの最適化
通信技術の発達、そして何よりスマートフォンの普及によりWebページはモバイルからのアクセスが主流になってきています。かくゆう筆者も、電車での移動中などもほとんどスマホの検索機能を利用しています。そんな時代だというのに、たまにモバイルページに最適化されていないWebページを見かけます。画像が収まってなかったり、文章のレイアウトがごちゃごちゃになっていたり…。
これとは逆に、モバイルサイトでも見やすい記事にしておくことをレスポンシブ対応と言います。もう少し解説すると、デバイスの画面サイズごとにレイアウトを変え見やすくしておくことです。例えばパソコン、スマートフォン、タブレット。
現在、Webページへのモバイルからのアクセスは全体の7割以上と言われています。こうしたユーザーの環境や行動に合わせて最適なWebサイトを提供することは、UXを向上させるために欠かせませんし、これはSEOにも深くかかわっています。レスポンシブのされていないページはGoogleからのペナルティを食らう可能性すらあるのです。
レスポンシブ対応について
あなたのWebサイトがモバイルページに最適化されていない場合、CSSなどのコードを追加する必要があります。CSSを編集するにはある程度の専門知識が必要になってきます。(それでも1~2週間である程度習得できます。)
例えばWordpressでサイトを作成している方なら基本的に問題ないでしょう。現在のWordpressテーマは、そのほとんどがレスポンシブに対応しています。万が一あなたのWordpressサイトがレスポンシブ対応されてなく、なおかつCSSも知らないのであればレスポンシブ対応に特化したWordpressテーマに変更することをおすすめします。他にも、クラウドソーシングなどでレスポンシブ対応を実施してくれる人に依頼することもできます。
UX、UI、コンテンツ、結局何が重要
「UX、UI、コンテンツどれに力を入れればいいの?」しばしばこういった疑問を見かけます。確かに、まず何に力を入れるべきかわからないのは苦痛ですよね。
では結論から言います。「コンテンツを追求することはUIを良くすることにも繋がり、それらはUXを向上させSEOに影響を与えます。」この流れについて順を追って説明していきます。
そもそもコンテンツってなに
例えばあなたの記事の中にある文章。そのひとつひとつがコンテンツです。「コンテンツ=情報の中身」と考えます。そのサイトの画像や動画、ゲームや教材なんかもコンテンツですし、そのコンテンツの中の文書やデータもコンテンツです。
そもそもUIとは
UIとはユーザーインターフェースの略で、インターフェースは接触面・境界面を意味します。ユーザーと製品やサービスが接触する部分という意味になります。Webサイトで例えるならば、ユーザーが見ているその画面すべてがUIです。あなたのコンテンツすべてがUI です。リンクボタン一つ一つがUIです。あなたのWebサイトで動くマウスの動きもUI です。綺麗なデザイン、レイアウト…。そのすべてがUIという言葉に集約されるのです。UIはUXと似た解釈をされがちなので注意しましょう。UIはUXの中の一つ、UXよりも少し手前の話です。
コンテンツはUI?UX?
上記の説明を解釈すると、コンテンツはUIの一部としてもとらえることができます。読みやすい文章配置を考えたり、段落を調整したり、図や表・画像を加えたりするのはUI向上に効果的です。同時にコンテンツの内容はユーザーの体験になりますからUXにもつながります。
コンテンツがUXを向上させる
UXを高めていくにはコンテンツの充実は必要不可欠です。ユーザーの検索意図にあったコンテンツを提供することは、UX向上につながり、結果的にSEOにも影響します。逆に、支離滅裂な内容、記事の内容がニーズに合っていない、潜在ニーズを捉えられていないetc.これらはUXを低下させます。
UIがUXを向上させる
ユーザーが使いやすく、見やすく、心地よく。ユーザーに合わせUIを向上させていくことはUXの向上につながります。押しやすいボタンを配置することはUIデザインと言えますが、「ボタンが押し易く、モーションが気持ちよかった」と体験させることはUXを向上させているといえます。UIはUXに大きく紐づいているのです。その結果ユーザーの満足度は上がり再訪問、シェアや、同サイト他記事の回遊が行われます。サイトの評価は高まり、SEOにおいても結果を残すでしょう。
(ちなみにですが、ユーザーの満足度はユーザビリティという言葉で表したりします。
ユーザビリティとUXは似通った部分があり解釈が難しいポイントです。本記事では影響がないのでこれについて触れませんが、気になる方は「UX ユーザビリティ」等で検索してみてください。)
コンテンツ→UI→UX→SEOの流れ
まずはコンテンツの充実に力を入れるましょう。執筆作業の途中、または執筆後に、そのコンテンツのUIは悪くないか(読みやすく構成されているか、リンクがわかりやすいか)チェックしましょう。もし専門性が高く、難しい言葉がたくさん出てくるような記事だとしても、小見出しを細かく区切り、図や画像の解説を入れ、重要な場所の文字装飾(太字やアンダーラインetc.)が適切であれば、ユーザーは「わかりやすかった!読みやすかった!この記事があってよかった!」と感じます。
『コンテンツを重視し→UIを考え→読者が満足しUXが向上する→結果SEOに影響し上位表示される』という流れです。すべてではありませんが、この流れは基本となりますので意識するようにしましょう。
UXの向上がSEOに効果をもたらした事例
筆者は、UXはSEOに良い効果をもたらすと確信しています。今回はその根拠として、「クックパッド」の成功事例を紹介させていただきます。
検索1位常連「クックパッド」
この記事を読んでくださっている方々もクックパッドを利用したことがあるのではないでしょうか。レシピ検索のサービスと言ったらクックパッドと思っている方も多いはずです。クックパッドは、ただレシピを提供することを目的にしていません。一つ一つの料理を通してユーザーのスキルが向上していく感覚を提供してくれます。初心者でも簡単に作れる料理から、上級者向けのものまで…。
例えば、その過程を「つくれぽ」というコメントのような機能で公開できます。レシピ作成者も、そのユーザーも共にレベルアップしている感覚を味わうことができます。ある種のゲーム性を感じるこの設計は、実際に多くのユーザーを呼び込みリピートさせ続けています。
検索エンジンで「●●レシピ」と調べてみてください。ほとんど1位、または上位にクックパッドの名前が上がります。既にドメインパワーが強いのもそうですが、こうしたUXデザインを追求をした先のSEOの成果を感じることができます。
まとめ
Googleのゲイリー氏の発言では、UXはSEOに影響しないことが判明しました。ですが、それはおそらく直接的には、GoogleがUXを評価基準に入れていないということだと推測します。間接的ではあれ、UXの向上がユーザー心理をつかみ検索順位を向上させるのは、数々のサイトが実証してきたことです。UXの向上はユーザーを呼び込み、成約率すら高めます。結果サイトの力は強まりSEOにも影響を及ぼします。
これからのSEOでは、ユーザーファーストでものを見る力は必須です。Googleは検索順位上位に良質な記事を持ってくるためにアルゴリズムや評価基準を定めています。それはユーザーの為の配慮であり、UXを意識した結果なのではないでしょうか。今回の記事を参考が、UXについてもう一度考えるきっかけになれば幸いです。