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AI導入がマーケティングにもたらす効果とは?

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近年、マーケティングはAIの導入によって新時代に突入しています。AIの技術開発が飛躍的に進み、今やAIをマーケティングに利用する権利は大企業こそが持つ、という風潮ではなくなってきています。AIマーケティングツールにおいても、高度なレベルのものから小企業でも無理なく試せるようなものまで、多種多様なツールが世界中で開発されています。

ここではそんなAIとマーケティングの関係について、その基本から成功事例までをまとめてご紹介しています。

AIについて基本をおさらい

考えるAIロボット

まずはAIの基本からおさらいしましょう。

Artificial Intelligence

AIとは「Artificial Intelligence」の略で、日本語では「人工知能」と呼ばれています。近年、何かと耳にする機会が増えた「AI」というワード。プロ棋士と将棋AIの対局が注目を集めたり、AIを搭載した新型車開発が話題になったりと、AI関連のニュースには事欠かない時代に突入しました。そしてAIはマーケティング分野においてもその存在を確固たるものとし、勢いのあるスピードで適用範囲を拡大しています。

進化を加速するAI

AIという言葉がこの世に誕生してから実に60年以上が経ちますが、未だそれは時代の先端をあらわすキーワードとして、多くのメディアで日々取り扱われています。

AIが最先端という域に鎮座しつづけることができている理由は、その進化のありようです。特に近年は、「ディープラーニング」という飛躍的な技術革新が多種多様なサービスの改進を助け、一般生活者でもAIの存在を認知する機会が圧倒的に増えました。

ディープラーニングとは

「ディープラーニング」の誕生以前、AIのシステムは「ルールベース」や「機械学習」という2つの方式がスタンダードとされていました。これら従来の方式では、システムの基盤であるアルゴリズムやルールの作成、学習方法の設定はヒトが担い、その後の処理、つまりデータ解析や取捨選択、レコメンデーションなどはAIが担っていました。

対して「ディープラーニング」では、ヒトが行うのはデータというきっかけの提供のみ。そこからAI自らがアルゴリズムの生成を行い、学習の仕方について考えを巡らせ、継続学習を進めながら「正確性の向上」という成長を続けていきます。

この革新的な技術進歩を引き金に、AIとマーケティングの関係はより密接なものへと進展を続けています。

AIをマーケティングに取り入れるメリット

ノートパソコンを操作する女性

AIをマーケティングに取り入れることにメリットはあるのでしょうか。

対応の高速化

AIの強みは、なんと言ってもその処理スピードの速さ。1秒間に8,000ものバナー広告を生成するAIも登場しています。ヒトの手では膨大な時間を要する作業も、AIは一瞬でこなすことができるため、業務の圧倒的な効率化や人手の有効活用が可能になります。

情報やモノがあふれる時代において、選択することに疲れを感じている現代の消費者は、より厳しくそして極めて短時間で「見極め」というジャッジメントを下すようになっています。ピンとくるモノ以外は切り捨てたところで痛くも痒くもないため、「切り捨て」という行為をいとも簡単に行うようになりました。同様に、「古い」と感じるスピードも年々速さを増すばかりです。

この「供給」と「切り捨て」のイタチごっこを勝ち抜くため、今マーケティングに求められることは「超」がつくほど俊敏かつハイクオリティーな対応であり、多くのマーケターがそれを叶えるAI技術の最新動向に目を光らせています。

安定した正確性

的確な戦略、精度の高いコンテンツ、ニーズに合ったサービスなど、これら要素はマーケティングを行う上で絶対的に必要とされているものです。そしてこのような高精度な成果物は、莫大な量のデータをもとに複雑な計算・解析が行われることによって作り上げられます。ベースとなるデータの量は多ければ多いほど解析結果の精度を高めることにつながるわけですが、データの量が増えるということは、必然的に解析や計算の複雑性が増すということを意味します。

ヒトの弱点は、このような複雑化に対して誤算を起こしがちだというところ。逆にAIはこの手の処理を得意とし、情報の量が肥大化しても高精度の結果を安定して導きだす能力を備えています。

AIは雇用を奪ってしまうのか?

ここまでご紹介したように、AIはマーケティングの特定の分野において人間が持つ能力をはるかに超えた能力を発揮することができます。AIによるマーケティングの活性化には世界中が期待をふくらませていますが、その一方で、AIによってマーケッターの雇用が縮小されてしまうのではないかという懸念の声もあがっています。

確かに、ヒトがこれまで行なっていた多くのマーケティング業務は、近い将来AIが代行することになるでしょう。しかし、それは仕事が奪われるということではなく、ヒトがヒト自身にしかできないような、クリエイティブな業務に集中する環境が整うということなのです。

例えば、これまでキャンペーン分析やその報告書作成などに割いていた時間や労力を、新しい企画の発案などに回すことが可能になります。

AIとヒトの分業化が進むことに対しては、アイデアや企画の創出の促進によって「マーケティングの質が底上げされる」という見解の方が現実的でしょう。そして何より、この変化を「新しい形の協業」としてとらえ活用してこそ、新しい未来がひらけるのではないでしょうか。

AIをマーケティングで活かすには

AIと若い男性

それではAIをマーケティングで活用する方法を紹介します。

AI実装に向いている領域を知る

マーケティングでAIを有効に利用するには、AIが得意とする分野を把握しておく必要があります。AIの実装に向いているとされている主な領域は以下の4つです。

  • アナリティクス
  • カスタマーサービス
  • ターゲットへのメッセージング
  • 経営管理

順に解説していきましょう。

アナリティクス

分析はAIが得意とする最たる能力の一つです。一般的に注目されているのは、そのスピードと正確性ですが、実はもう一つ、「見えていないものを予測する」という能力にも目を向けるべきでしょう。ここで言う「見えていないもの」とは、ヒトでは気付くことができないような、膨大な情報の中に埋まってしまっている価値ある法則のことを指しますが、AIはこの「見えない法則」を見つけ出し有益に利用する能力を持っています。

膨大な履歴から精度の高いレコメンドを産出したり、経営者や組織に新たな気づきや視点を与えたり……これらは特殊な洞察力を持つAIだからこそ為しえることでしょう。

カスタマーサービス

AIとカスタマーサービスはとても親和性の良い関係にあります。それは、AIを顧客サポートに活用している企業の多さでも立証されていると言え流でしょう。誰しも一度は、AI機能によるバーチャルオペレーター「チャットボット」と会話をした経験があるのではないでしょうか。

AIチャットボットは、今や顧客を多く抱える企業にとってのマストツールとなっています。まだ導入していない成長企業は早めに着手することをお勧めします。

ターゲットへのメッセージング

AIは、顧客や見込み客の欲求、行動パターンをすばやく予測し実行に移す能力にも長けています。ターゲットへのアプローチはスピードとその手法が勝負です。AIを導入している企業とそうでない企業では、アプローチに対するコンバージョンに圧倒的な差が生まれることになるでしょう。

経営上の管理

イギリスで行われた複数の調査結果では、小規模企業の経営者は経営上での管理問題に実に1年の3分の1もの時間を費やしている、ということが明らかになっています。逆を言えば、記録管理や資金の管理、解読に時間がかかる法律文書の要約など、経営上で必要とされるさまざまな管理をAIに任せることができれば、経営者は従来比130%のパフォーマンスを実現することが可能になるということでしょう。

AIマーケティングツールを紹介

AIのツールを様々なデバイスで利用する様子

AIについて徐々に理解が深まってきたのではないでしょうか。ここからは、AIを利用したマーケティングツールを紹介します。

スタイリングを提案するAIアプリ

AIによるマーケティングはファッション業界でも活用されています。「SENSY」は、AIがファッションのスタイリングを提案するという、新感覚のレコメンデーションアプリ。AIの新星、ディープラーニングの搭載により、ユーザーの好みを徹底的に分析し高度な推薦を実現。これにより、従来のAIでは推薦もれが起こりがちだった新商品やニッチな商品まで、商品全てを網羅したレコメンデーションが可能となっています。日本の百貨店大手、三越伊勢丹ホールディングスが活用しています。

<特長>

  • 登録されているブランドは2,500以上
  • 商品を扱う最寄り実店舗までへの案内機能もあり
  • 実際の現場で活躍しているスタイリスト・モデルが育成したAIを利用することができる
  • 最新のファッション関連記事の推薦も行う

来店者の行動パターンを分析するAI

AIの実装ノウハウを提供するプラットフォーム「ABEJA Platform」は、中古車販売企業IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル)の一部店舗に、来店客が入店してから購買に至るまでの行動を解析・可視化するAI装置「ABEJA Dashboard」を導入し、店舗の収益アップに成功しています。

客の行動をAIがヒートマップとして可視化、それをもとに店舗プランニングやスタッフの動きについて改良を施したところ、展示車両の販売比率が他店舗に比べ10%高くなったという成果が出たようです。ABEJA Platformは他にも、客の動態や滞留データについて解析を行う「ABEJA Behavior」や、性別や年齢を推定する「ABEJA Demographic」などといったサービスも提供しています。

SEOをサポートするAI

アメリカの企業「Market Brew」はAIを活用したSEOサポートサービスの最大手です。SEOはPDCAを回すことによってその成果をのばすことが実現しますが、PDCAのC(Check)つまりその成果を予測できるようになるには、一般的には約2ヶ月が必要とされています。Market Brewはなんとこの解析期間を約60分の1に大幅に短縮、その日のうちに対策結果を予測することを可能としています。

AIをマーケティングに活用した事例

ロボットアシスタントが働く様子

より具体例なイメージがつかみやすくなるよう、AIを活用した事例を紹介します。

価格設定でAIを活用した事例

世界最大級のインターネット通販サイト「Amazon」や配車サービスの大手「Uber」は、AIが商品やサービスの価格設定を行う「ダイナミック・プライシング(Dynamic Pricing)」を採用しています。「動的価格設定」や「変動料金制」とも呼ばれるこのシステムは、需要と供給のバランス、時間や時期といったタイミング要素、天気や交通の状況など、あらゆる情報をもとにAIが自動解析を行い適正価格を算出するという仕組みです。

例えば、道路が混雑する時間帯にはタクシー料金は高く設定され、気温が20℃をきるような日にはアイスクリームの値段が下げられたりなど、このような調整がAIによって自動で操作されます。

ドイツのスーパーマーケットグループ「Kaufland」は、実店舗にてこのシステムを導入し、商品の値札をデジタル化、それによって状況に応じた柔軟な価格変更を実現しています。

ウェブ広告でAIを活用した事例

ウェブ広告を配信しているサービス「CANDYはAIを活用することで、ユーザーの欲求と広告のマッチング精度を85%以上に引き上げることに成功しました。

その仕組みはユーザーが目を通している記事の内容から「今その人が求めていること」をAIが推測し、それにマッチした広告を表示するというもの。

ある大手ウェブポータルサイトが実施した実証実験では、ウェブ広告のマーケティングにこのようなAIを導入したところ、3倍のクリックレートの獲得につながったそうです。

顧客対応でAIを活用した事例

株式会社アスクルが運営する個人向け通販サービス「LOHACO」は、カスタマーサービスにAI型のチャットボット「マナミさん」を活用しています。この「マナミさん」の特長は違和感を与えない自然な会話。その精度と24時間365日対応という柔軟性が相まって、オペレーター6.5人分の省人化に成功しています。さらに、この顧客対応の効率化により、実際のオペレーターは注力すべき案件の対応により多くの時間を割き、丁寧に取り組むことができるようになりました。これはAIとヒト、それぞれの利点が生かされた新しい接客サービスの模範的な事例と言えるでしょう。

SNSでAIを活用した事例

今や多くの人にとって生活の一部となっているSNS。周知の通り、大小問わず多くの企業がFacebookやTwitterなどのSNSをマーケティングツールとし、日々多様な施策を試みています。

国内ビールメーカーのキリンもそんな企業の一つ。キリンは、SNS上に投稿されている写真や文章をAIを使って解析し、キリンの代表作である「一番搾り」に対する消費者の心理やニーズをとらえることを試みました。

調査当初はAIによる文書解析のみを導入していましたが、例えばコメント欄に「ビールが美味い!」とだけ書かれた投稿では、その人がどの銘柄のビールを飲んでいるのかまでつきとめることができませんでした。そんな課題を打破したのが、画像認識技術を搭載したAIです。このAIは写真にわずかに写っているビールラベルさえも検知することを可能とします。

文章解析AIと画像解析AIというの2つのアプローチを駆使したことから得られた結果は、「一番搾り」がスナック菓子やおつまみといった「軽食」と合わせて飲まれているということ。キリンは「食事と一緒に」を想定した打ち出しを行なっていたため、この調査結果は「一番搾り」の売り出し方を見直す糸口となったようです。

SNSは、消費者の意識や生活シーンについて調査するのには格好のメディアであり、CMに対する反応やどのような年齢層にウケているのかなど、マーケティング戦略を立てる上で役立つヒントが多数詰まっています。

まとめ

AIツールをタブレットで利用する男性

AI技術を自社のマーケティングに取り入れるべきか否か、そう迷っている間にも、AIシステムを導入しているライバル社は桁違いのスピードで先へと進んでいるかもしれません。

ここ数年でAI技術とその関連サービスは目まぐるしい変化を遂げ、以前は敷居が高かったAIの存在も、今では随分と身近なものとなっています。百聞は一見にしかず。慎重になりすぎず、「試して知る」という選択肢を視野に入れると良いかもしれません。

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