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CX(顧客体験)とは?用語説明から実践方法まで紹介します

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近年目にするようになった、“CX”や“顧客体験”という言葉。CX(顧客体験)とは、企業や個人事業主、ビジネスをする人が常識として知っておかなければいけない概念です。何を意味するのか、どう仕事に活かすのか、理解できている方は少ないのではないでしょうか。

なんとなく言葉から察することができる、という方は多いかもしれませんが、それでは実務において何の役にも立ちません。それにも関わらず、顧客体験の重要度は増すばかりです。

そこで、この記事では、CX(顧客体験)について、用語の解説から改善方法や実例まで介して、実践までのイメージが掴めるようにしていきます。

CX(顧客体験)とは

CXと書かれたブロックと人形

CX(顧客体験)とは、顧客やユーザーが商品やサービスに興味を持ち、その商品・サービスを購入・利用し、その後のアフターサービスを受けるというような一連の流れの総称です。

例えば、ある女性が1人いるとします。その女性は、コスメ商品の広告をWeb上や街中で目にして、そのコスメ商品について興味を持ち始めます。気になった商品をすぐには買わないので、商品についてのレビューを検索したり、商品の評判をInstagramで検索します。こうした検索行動によって、商品への理解は若干深まりました。

ある時、Instagramを見ていると、そのコスメ商品を使ったという友人の投稿を目にしました。友人の投稿には、使用感がとても良かったと書いてあったので、そのコスメ商品を購入することに決めました。商品のサイトをスマートフォンで開いて、対象の商品を購入。後日、郵送にて自宅に商品が到着。

自分自身でも実際に使ってみると、友人のいっていた通りで使用感がよく、Instagramに投稿することに。投稿すると、すぐに企業の公式アカウントからいいねがきたので、フォローすることにします。

というように、商品の購入に到るまでと、購入後の行動すべての一連の流れを顧客体験と定義されています。

CX(顧客体験)が重要なわけ

はてなマークの紙袋を被っている女性

CXはなぜこれほどまでに重要だと言われるようになってきたのでしょうか。

スマートフォンとSNSの普及

一つ挙げられるのが、スマホやSNSの普及によって、企業と顧客との接点数が以前よりも増加していることがあります。

生活のありとあらゆる場面でスマホやSNSが活用され、先ほども例に挙げたように、SNSを通じて、消費者と企業と直接やりとりをするようになりました。

筆者自身も、Twitterでスターバックスのアカウントをフォローすると、ダイレクトメッセージでフォローありがとうの連絡がきた経験があります。

スターバックスほどの大企業が、一個人に向けてメッセージをさらりと送れるのも、スマートフォンの普及率とSNSが生活に占める割合がいかに大きくなってきているかを表しています。

テクノロジーの進歩

そして、企業と個人が繋がれることや、テクノロジーの進歩が重なり、消費者一人一人の行動やライフスタイルが企業側にデータとして蓄積されるようにもなりました。

これにより、消費者一人一人に適したアプローチ手法をとることができるようになりました。時間帯や興味関心に応じて、情報を適切に届けることで、消費者の現在の状態を加味した個別のアプローチが行われています。

マスメディアを代表とする、1対多という、従来のマーケティング手法とはまったく異なるアプローチ方法です。

このような流れのなかで、消費者サイドの情報リテラシーも年々上がっており、消費者自身の状況や興味関心の外にあるものは疎まれるような傾向も調査により明らかになっています。
※参照:過度のターゲティング広告が消費者のブランド離れにつながる

コト消費への変化

また、社会全体的にみても、モノが飽和しています。質がよい、安いというだけではモノが売れなくなってきており、消費者はその商品やサービスを購入することでどういった体験ができるのか、それは自分の価値観にフィットするのかといったことを購入契約の判断基準として持つようになってきました。以前より言われている、モノ消費からコト消費への変化が進んでいるためです。

こうした背景をもとに、消費者は購買に付随する体験を重視するようになってきています。そして、その傾向は今後も強まることが予想されます。国内需要も拡大の希望は薄いなか、いかにして消費者との強い繋がりを作ることができるかがポイントです。

企業の生き残り戦略として、顧客体験の追求は重要な役割を担うようになっているのです。

CX(顧客体験)を向上させるためのポイントを解説

CXのキーを押す指

CV(顧客体験)を向上させるためのポイントをいくつか解説します。

現状把握と顧客把握

まずは、顧客が自社の商品やサービスとどのような接点を持っているのか、現状把握する必要があります。その際、役に立つマーケティングツールがカスタマージャーニーです。

顧客の年齢、職業、住まい、興味関心などを明らかにして、いくつかのロールモデルをつくり、そのロールモデルが実際にとる行動や生活習慣を元に、自社商品・サービスとの接点を洗い出します。

課題の発見

そして、洗い出した顧客接点を全て把握し、そこからボトルネックになっているような課題はないか分析します。

告宣伝ポイントと来店時の矛盾点はないか、商品が購入できるサイトで使いづらい点はないか、購入後のアフターサポートは顧客が満足できるものになっているか。数量的な側面から分析することはもちろんですが、定性的な文脈から分析することも必要です。

数量的な情報だけでは、顧客のエモーショナルな側面をみることはできません。なぜ購入したのか、なぜまた購入してくれるのかといった、whyの部分が見えづらいのです。そのため、両側面から顧客の体験について分析し、課題を発見します。

ミッションからの落とし込み

課題を探る上で、もう一点見落とせないポイントが、企業や組織のミッションに即した体験になっているかです。消費者の商品やサービスを選ぶ目は鋭いです。企業が掲げているミッションと異なる施策や接点創出をしていると、敏感な消費者は勘づき、離れていってしまいます。

商品の質が良い、安いことでモノが売れる時代はもう終わりに近づいています。

自身の価値観に、その商品はフィットするのかどうか。こういった観点で見られているのです。企業としての価値観にあたるミッションのもと、行動できているかをチェックしていかなければなりません。

指標策定

課題発見後は、その課題に応じて追うべき指標を決定します。CX改善は全社的な取り組みであるべきです。そのため、指標も全社的なものである必要があります。

例としては、純顧客価値像やNPS(ネット・プロモーター・スコア)が挙げられます。

純顧客価値像とは、一定期間中の新規ユーザー数から同時期に減ったユーザー数を差し引いたもの。NPSは顧客満足度を数値で計測できるようにした指標です。

規模が小さい企業であれ、大きい企業であれ、全社一丸となって取り組めるCX改善の指標を定めることが求められます。

CX(顧客体験)を活用した成功事例

それでは実際にCX(顧客体験)にフォーカスを当てたことで成功した事例を紹介します。

株式会社LIFULL

株式会社LIFULL

株式会社LIFULLは、2017年4月に社名がLIFULLに変わったときに、『あらゆるLIFEを、FULLに。』というコーポレート・メッセージを設定しました。

事業の柱はLIFULL HOME’Sですが、それ以外の分野でも価値を創出しようとし、子会社100社、100カ国展開というスローガンを掲げて、新規事業開発にも注力しているようです。

そして、「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレート・メッセージを実現するために、「LIFULL Act」という指標を定め、サービスの品質や価値が目指している基準に満たしているかどうかを常に追求する取り組みを行っています。

Life-centered

それは、Lifeを中心に考えているか?

For All

それはあらゆる人のためになるか?

Happy

それは、安心と喜びをもたらすか?

Simple

それは本質を追い求めているか?

Amazing

それは、スゲーと思えるか?

先に挙げた指標ではないですが、独自の指標を掲げ、社員全員がこの指標を元に日々の仕事を行っていく。まさしく、全社一丸となって、CXの改善に取り組む事例です。

Niantic(ナイアンテック)

Niantic

「Ingress(イングレス)」「ポケモンGO(Pokémon GO)」などのARゲームを開発した会社です。

ミッションは、「テクノロジーを用いて人々を外に出し、人と人とをつなげること」。これを達成するために、ゲームを活用するというスタンスで事業展開しています。

そして、このミッションを実現するために、同社が重視しているのは「共有性」と「共通性」です。ポケモンGOをでいえば、同じ場所に行けばポケモンがいるという共通性。どこどこで〇〇というポケモンがいたという体験を共有できるのが共有性。この2点を重視し、顧客体験の創出を心がけてきたとのこと。

例えば、新たな施策やゲームへの機能追加を行うときも、ビジョン達成に貢献できるかを重視して採用不採用を決定します。この施策や新機能実装を行うと、ユーザーの歩行距離はどの程度増えるのか、「冒険し、人が繋がっていく」という価値が提供できるのか、といったような観点で判断しています。

あくまでゲームは手段。上位概念であるミッションからドリルダウンして、そのミッションを実現するための顧客体験を、施策を通して作り出すという、お手本のような事例です。

ミツカングループ

ミツカングループ

2018年11月に、10年後のありたい姿として「ミツカン未来ビジョン宣言」を発表。「ミツカン未来ビジョン宣言」で掲げているのは、「人と社会と地球の健康」「新しいおいしさで変えていく社会」「未来を支えるガバナンス」の3つです。これらを実現するためにも、現場で働く社員一人一人がデジタル活用の能力を身につけ、よりお客様一人一人に適したサービスを提供することを目指しています。

そこで、CXプラットフォームサービスである、KARTEを導入し、デジタルに関する専門的な知識がなくても自社サイトやアプリのCX改善をすることができる環境を用意。

例えば、ミツカンには「MIM(未来につなげる施設「ミツカンミュージアム)」という施設があります。この施設は、ミツカンと消費者が直接接する貴重な接点です(ミツカンの商品はたいてい小売店を通して消費者のもとへ届くため)。

そのため、施設サイト来訪者に対して、KARTEを通して、来館体験の有無や居住地、MIMを知ったきっかけなどを質問するアンケートを実施。質問する内容はサイト来訪回数や来訪者の属性によって、変更します。顧客一人一人に適した体験を提供するよう心がけていることが見えてきます。

KARTEを利用し、ユーザー一人ひとりの可視化を解像度高くすることで、顧客理解を深めようという戦略だそうです。それも、10年後という長いスパンで見た時に、「人と社会と地球の健康」「新しいおいしさで変えていく社会」「未来を支えるガバナンス」といったようなミッションを実現していくためです。

CX(顧客体験)をより理解するための書籍やサイトを紹介

顧客体験をより理解するために欠かせない書籍やサイトを紹介します。

DIGDAY

DIGDAY

ジャンルは様々な記事がありますが、CXに関連する記事ではその本質とは何かを学ぶことができます。検索で「CX」と打てばそれ関連のものがいくつかでてくるので、興味のあるものから読むとよいでしょう。

CXclip

CXclip

CXに特化したWebメディアです。様々な業界の企業にインタビューし、CXに関する現場の生の声を提供してくれています。

CX戦略

CX戦略

CX戦略とはそもそも何かということを理解するのには最適な一冊です。企業におけるリソースで可変性を持っているのはヒトのみ。そのヒトが生み出す心理的な価値観について言及してあります。

顧客体験の教科書

顧客体験の教科書

顧客体験について、網羅的に取り扱われています。本記事でも紹介しているように、組織として良質な顧客体験を提供するには、いかにすればよいかが3段階で実践できると言及されています。顧客を正しく理解すること、顧客接点に施策を落とし込むこと、そして、組織をマネジメントすること、以上の3つです。

まとめ

Customer Experienceと書かれた部品

CXについて、用語として意味することからその実践方法までをまとめました。

これからCXの改善に取り組もうとする企業、もしくは個人事業主は、まずはCXの重要性を社内で理解してもらうことから始まります。その上で、自社の商品やサービスに関連する顧客体験を全て洗い出し、現状把握します。現状把握から課題が浮き彫りになり、その課題をミッションのもと改善していく。こういったフローでCXの改善に取り組んでいくことができます。

今回の記事を参考に、CXの改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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