どの動画編集ソフトを選べばいい?選ぶポイントやおすすめソフト
2019年現在、YouTubeなど一般人でも投稿できる動画プラットフォームが普及し、手軽なものから高度なものまで動画編集に対する需要が高まっています。その需要に対応するように無料版から有料版まで様々な動画編集ソフトがリリースされています。
今回は、動画編集ソフトを導入する際に注意するべきポイントとおすすめの動画編集ソフトを紹介していきます。
動画編集ソフトでできること
動画編集ソフトとは、カメラ等で撮影した動画、静止画を読み込み、切り貼り、BGM付加、エフェクト処理などを行うためのソフトウェアです。
- 動画の読み込み
デジタルカメラやスマートフォンで撮影した動画を読み込む機能です。動画編集ソフトは1つの編集をプロジェクトと呼ばれる単位で管理することが多く、読み込んだ動画はプロジェクト内のメディアリストに追加されます。追加されたメディアを選択し、編集タイムラインに追加することで動画の編集ができます。
- 手ぶれ補正
デジタルカメラやスマートフォンで撮影した撮影の手ぶれを補正してくれる機能です。スマートフォンで撮影した動画は手ぶれの幅が広くなってしまう場合もありますが、自動で補正後に手動で微調整できる機能があるソフトウェアも存在するため、十分な補正が行なえます。
- カット
動画や音楽を指定したポイントで2つに切り離す作業です。動画の書き出したい部分だけを切り出したり、音楽のサビだけを抽出したりするなどの作業が行なえます。編集タイムライン上でカットしたいポイントをクリックし、カットのコマンドを実行するだけで行えることが多いです。動画編集ソフトでは編集の初期段階として最もよく利用される機能です。
- 字幕付与
動画や写真の中にテキスト情報を表示したい際に利用する機能です。動画編集画面には編集タイムラインとは別にその時間点においてのキャプチャが表示されるソフトウェアがほとんどです。導入した字幕を確認しながら調整を行うことでイメージ通りの編集結果となるよう心がけましょう。
- トランジション
異なる2つの動画の切り替え点を自然に見せるための機能です。自然な動画を作成する上で有用な機能ですが、利用の仕方によっては陳腐な動画に仕上がる恐れもあるためプレビューで確認することが重要です。
- フィルタリング
動画に色味を加える機能です。テーマに応じて動画の雰囲気を変えるのに有用です。
動画編集ソフトを選ぶときのポイント
どの動画編集ソフトを選べばいいのか、ポイントをご紹介していきます。
用途に応じた価格のソフトか
動画編集ソフトには、無料のソフトから10万円前後するソフトまで幅広く存在しています。用途に応じた価格のソフトを利用することが重要です。
例えばビデオカメラで撮影したホームビデオを切り貼りする程度であれば、無料のソフトウェアに搭載されている機能で十分です。一方で、会社紹介用の動画など高いクオリティが求められる場合に関しては、有料のソフトウェアを使用するのが良いでしょう。
簡易編集モードが搭載されているか
動画編集は、未経験の方にとっては難しい作業です。動画編集ソフトも操作方法が難しいソフトも少なくなく、操作に慣れるまでは編集に時間がかかってしまいます。
動画編集ソフトの中には、簡易編集モードが搭載されているソフトがあります。ユーザーが動画や写真、BGMなどの素材を入稿すると、ソフトウェアが自動でナチュラルに編集した動画を生成してくれます。またプレビューの結果、不自然な場所がある場合には素材の入れ替えや編集を行えるため、編集時間の短縮もできます。
撮影した動画のフォーマットに対応しているか
動画フォーマットには様々なフォーマットがあります。
- AVI(Audio Video Interleave)
Windowsで標準の動画形式です。広く利用されている一方で機能性では他のフォーマットに比べて劣ります。近年動画再生において一般的なストリーミングに対応していないほか、データ自体が個別のタイムスタンプを保持できないなど幅広い用途に使いたい動画の制作には不向きです。
- MP4
Windowsのみならず、MacやiOS、Androidなど幅広い端末に対応している動画形式です。Appleのメディア技術であるQuickTimeのファイル形式をもとに作られた派生フォーマットで、YouTubeやニコニコ動画などの動画プラットフォームでも利用されています。マルチメディアファイルの交換、管理、編集を目的として作られているため汎用性が高いのが特徴です。
- MOV
Appleが開発したQuickTime用のフォーマットで、Apple製品と相性が良いとされています。撮影する際に様々なデータを格納するのに適するよう設計されています。
ウイルス感染の心配がないか
無料ソフトウェアの中には、コンピュータウイルスに感染したものやハッキングの元となるものが含まれているものも存在します。有名メーカーのものや利用者や口コミ、解説サイトなどが豊富にあるソフトウェアを選択することで、ウイルス感染の可能性を軽減できるでしょう。
おすすめの動画編集ソフト(PC向け)〜無料〜
AviUtl
対応OS:Windows、Mac
メリット
- 機能が豊富
無料であるにも関わらず、動画の切り貼りの他にもエフェクトが使えたり、レイヤーをいくつも重ねて編集できたりするなど、有料版に搭載されているような機能を持ち合わせて言います。またよく使うコマンドなどを利用しやすい位置に配置するなど、カスタマイズ性にも秀でています。
- 動作が軽い
無料版、有料版に関わらず、動画編集ソフトは起動時も編集時も動作が重くなるものがほとんどです。PCのスペックによってはフリーズしてしまい、バックアップが取れていないとデータが消失し、再度編集する必要が出てしまうこともあります。AviUtlの起動は非常に軽く、スペックの低いパソコンでも問題なく動作します。
- 商用利用できる
AviUtlは商用利用も可能です。無料の動画編集ソフトは利用範囲が個人利用に限られるものがほとんどですが、AviUtlは商用利用もできます。
- 情報が多い
無料で動作が軽く、商用利用も可能なためAviUtlは幅広い人々に利用されています。そのためインターネット上に利用方法やおすすめの機能など個人サイトも含めて情報が多く提供されています。
デメリット
- 家庭用DVDとして書き出しができない
DVDオーサリング、ライティング機能が搭載されていないためAviUtlで編集した動画データを家庭のDVDプレイヤーで再生するフォーマットでの書き出しができません。
DVDオーサリングとは、映像、音声などの動画データ、メニュー画面、チャプター調整、字幕、言語切り替えなどのデータを組み合わせ、DVDへ書き込むためのマスターを作る作業のことです。
DVDライティングとは、DVDへデータを書き込み、プレイヤーで再生できる状態にすることです。DVDオーサリングで作成されたマスターを利用して行います。
上記からAviUtlは動画を編集することに特化したソフトであると言えます。
Filmora
対応OS:Windows、Mac
メリット
- 操作が簡単
Filmoraには簡易編集モードと高度編集モードの2種類が存在しています。メディアを切り貼りしたり、BGMを加えたりする程度であれば簡易編集モードで可能です。簡易編集モードでは操作も簡単に行えるようユーザーインターフェースも工夫されているため、初心者の方でも簡単に動画編集を行えます。
一方で、高度なエフェクトなどの編集は高度編集モードで行えます。キーフレーム編集やノイズ除去などのオーディオ編集や、グリーンスクリーンを用いたクロマキー合成など高度な合成が可能であるのに加えて、編集のタイムライン上に100件のトラックを追加できるため、動画に加えて写真やフィルタ、エフェクトなど多くのメディアを追加して高度な編集が可能です。
- 無料版ですべての機能を利用できる
Filmoraには無料版と有料版が存在しますが無料版でも機能の制限はありません。しかし、無料版では書き出した動画にFilmoraの透かしロゴが入ります。
デメリット
- 商用利用できない
無料版、有料版を問わず商用利用はできません。一方で商用利用向けのパッケージも用意されています。商用向けは音楽の素材やエフェクトが一部制限されてしまうため、行いたい編集に影響が出ないか購入前に確認しましょう。
Lightworks
対応OS:Windows、Mac
メリット
- 日本語での利用が可能
無料ソフトには海外版も多く、英語に不慣れな方には利用しにくいものも少なくありません。Lightworksも海外版ではありますが、日本語でも利用が可能であるため、操作方法などで迷うことはありません。
- ユーザーインターフェースのカスタマイズが可能
動画編集を行っていると自分自身がよく使う機能が出てきます。Lightworksではそのような機能をユーザーインターフェース上の使いやすい位置に配置できます。また、マクロの作成もできます。大量の動画を編集する必要がある際決まった操作手順を踏むものがあれば、ソフトウェア側に記憶させて作業を自動かできます。
- エフェクトが豊富
フィルタやマスクなど利用できる効果が100種類以上存在するため、イメージにあった効果を追加でき、質の高い動画を作成できます。
デメリット
- 解説方法が載っているサイトが少ない
Lightworksは日本語での利用はできますが、海外版のソフトウェアであるため利用者の大半は海外の方です。そのため日本語で操作方法やおすすめの編集方法などをまとめたWebサイトが少なく、初めて利用する際には編集方法で戸惑うことがあるかもしれません。
おすすめの動画編集ソフト(PC向け)〜有料〜
Adobe Premiere Elements
対応OS:Windows、Mac
- 価格:¥17,800(税別)
AdobeのPremiereにはElementsとProが存在します。Elementsは手軽に編集したい方向け、Premiereは上級者向けという位置づけです。
Elementsは手軽にとは言っても、Proと同等のエフェクトなどが利用できるため、質の高い動画を制作できます。映像制作会社や一般企業の動画編集部署などでもよく利用されているソフトウェアです。
また、高度な技術を要しない編集であれば、Elementsで行うことをおすすめします。Proは高度な機能が豊富に搭載されているため、動作が少し重くなる傾向があります。
LoiLoScope2
対応OS:Windows、Mac
- 価格:¥9,800(税別)
初心者の方向けの編集ソフトです。スマートフォンに似た直感的な操作で編集できる一方で高度な編集には向いていないため注意が必要です。
また、簡単な動画編集に不要な機能は搭載していないため、動画編集ソフトとは思えないほど動作が軽くストレスなく動画編集できます。一般的な動画編集ソフトにはCPUやメモリに高いスペックを要求するものもありますが、LoiLoScope2はノートパソコンでも問題なく動作するほど軽いです。
加えて、LoiLoScope2の特徴的な機能として、デコレーション機能があります。動画に絵や文字を描ける機能です。動画の動きに合わせてペンの動きを加えたり、線を動かしたりするなど動画と組み合わせることでインパクトのある編集を行えます。
PowerDirector 17
対応OS:Windows
- 価格:¥15,980(税別)
軽い動作と高度な編集が兼ね備わった動画編集中級者向けのソフトウェアです。エフェクトやトランジションが充実しており、イメージに合わせて質の高い動画を制作できます。
また、タイトルに特殊効果を追加できます。炎やライト、稲妻などを追加することでインパクトのある仕上がりにできる上、一度制作したタイトルの再編集になった場合、プレビュー画面で直接文字の修正などを行えます。
加えて、高度な編集が可能です。ぼかしやモザイクなどをピンポイントで行えるほか、複数の色を指定してクロマキー合成を行うことができるため、ムラなく背景を除去できます。4KやHEIF(High Efficiency Image File)などのフォーマットにも対応しているため、幅広い素材を活用して編集できます。
PowerDirectorは初回起動時ユーザー登録が必要です。また、編集画面が各種タブ、ライブラリー、編集コマンド、タイムライン、プレビューと細分化されており、初心者の方には不慣れな画面であるかもしれません。編集画面もカスタマイズ可能であるため、利用しながら自身の利用したい形にカスタマイズしましょう。
おわりに
今回は動画編集ソフトについて、概要、ソフトを導入する際に注意するべきポイント、おすすめの動画編集ソフトについて解説しました。
2019年現在、YouTubeをはじめとする様々な動画プラットフォームが普及し、動画配信や編集で生計を立てる人も出始めています。動画編集は趣味としてはもちろんですがビジネスとしても成立する技術であるため、用途に応じた動画編集ソフトを導入し、効率よく質の高い動画を制作できるようにしましょう。