TikTokの広告メニューTikTok Adsの特徴や効果をあげるポイントとは
女子中高生を中心にスマートフォン用の動画投稿、配信サイトであるTikTokが流行しています。企業はマーケティングの中で最先端のサービスに広告を出稿することで、ブランディング、獲得の両面から効果を期待できるでしょう。
今回は、TikTokで用意されている広告メニューTikTok Adsについて、その仕様や入稿時の注意点、効果を出すためのポイントを解説します。
TikTokとは
TikTokは中国の企業ByteDanceが運営する短尺の動画プラットフォームです。若者を中心としコミュニティが形成されており、ユーザーは動画を再生する際速さを調整したり、エフェクトをかけたりしながら個性的な動画を作成し投稿できます。
また撮影した動画にアプリ内でBGMをつけられます。TikTokを利用することで特別なデバイスやアプリケーションなしで誰でも自身の動画を発信できる手軽さから、中高生を中心として広まっています。
日本でのユーザー数は2019年2月で950万人(※1)とされており、SNSの利用率は7.1%(※2)というデータもあがっています。他のSNSと比べるとまだ高い数値とは言えないかもしれませんが、ここ数年で着実に利用者が増えてきているのは間違いありません。
※1: TikTokが広告配信プラットフォームをリニューアル!日本法人副社長に聞く、広告主企業の活用価値
※2:ICT総研|市場調査・マーケティングカンパニー
TikTokが人気なのには以下のような理由があります。
投稿、視聴ハードルが低い
動画投稿、配信アプリケーションとしてはYouTubeが最大手ですが、YouTubeは動画の企画から編集までオリジナリティが求められます。
一方で、TikTokは内蔵されている音楽に対してよく見られるための工夫をするところにコントロールポイントがあります。また、1つの音楽の長さも15秒程度のため、ユーザーは気軽に投稿、視聴共に可能です。
内蔵フィルターが豊富
TikTokは主に女子中高生を中心に人気を集めていますが、撮影した動画にできる加工機能が豊富に揃っている点が人気の1つです。自撮り動画を投稿するのに抵抗があった人々も多彩な加工を利用することで心理的抵抗が軽減されています。
シェアされやすい
TikTokに投稿される動画はシェアされることを前提として投稿されるため、アプリ内はもちろんですがその他のSNSにも拡散される傾向にあります。拡散される喜びがユーザーの投稿意欲をかきたてています。
縦長動画である
YouTubeなどの動画配信、投稿アプリケーションはPC向けに作られたサービスであったため、動画は基本的にPCモニターに合わせて横長で制作されています。そのため、スマートフォンで全画面再生をする際には端末を横に向ける必要があります。
一方で、TikTokはスマートフォンなどのモバイル端末向けに作られたサービスであるため、ユーザーは動画を縦長で撮影し、投稿する用に設計されています。そのため端末の向きを変えることなく全画面再生ができます。
TikTok Adsの特徴
TikTok Adsはユーザビリティの観点から、ユーザーがアプリをインストールしてから7日間は広告が表示されません。これにより新規ユーザーの離脱率を軽減しています。
TikTok Adsの掲載面は3つです。
起動時広告
アプリを起動時に画面全体に表示します。また1日1社限定のメニューであるため、訴求力が強く多くのユーザーの認知を獲得できるメニューです。
入稿クリエイティブは静止画またはGIFで再生時間は3〜5秒です。クリックされると、TikTok内のアプリキャンペーンページまたは外部のランディングページへ遷移できます。1日のフリークエンシーは5回とコントロールされているため、過度の露出によるユーザーへの悪影響にもケアされています。
主にブランディング目的として利用されます。
計測データはインプレッション数、クリック数となります。
枠獲得は先着順、クリエイティブ入稿は10営業日前までとなります。また、App StoreやGoogle Play Storeなどのアプリダウンロード画面へは遷移できません。
インフィード広告
アプリ起動後のトップページに出てくる広告で、おすすめチャンネルに記載されます。
通常の投稿と同様のクリエイティブでいいね、コメント、シェアのエンゲージメントを獲得でき、シェアによる拡散も期待できます。リンク先に遷移するためのクリッカブルエリアも広くなっています。
また、インフィード広告ではターゲティングができます。ターゲティングの種類はアップデートの中で随時拡張されています。
ターゲティングの種類
OS | iOS/Android |
---|---|
性別 | 男/女/All |
時間帯 | 30分単位で設定/All |
通信環境 | Wi-Fi/4G/3G/2G/All |
オーディエンス | リターゲティング/デリターゲティング |
言語 | 日本語/中国語 |
地域 | 日本の都道府県/中国/台湾 |
計測データはインプレッション数、クリック数、クリック率、各エンゲージメント数となります。
- アクセス促進型
ユーザーがプロフィール画像、ユーザーネーム(広告主名)、説明文、青色バナー(詳細を見る)のいずれかをタップした際に、指定したランディングページまたはアプリダウンロードページへ遷移します。
広告主アカウントを作成する必要なく出稿でき、動画内で利用している音楽をユーザーが利用できません。
- ブランディング促進型
各要素をタップした際の遷移先ページが異なるのが特徴です。
ユーザーネーム、プロフィール画像は広告主アカウントのページに遷移、青帯バナー(詳細を見る)はランディングページまたはアプリダウンロードページに遷移、楽曲ページは楽曲ページへ遷移します。
遷移先として広告主アカウントのページがあるため、広告主アカウントを作成する必要があります。
#チャレンジ(タイアップ)広告
タイアップ広告です。ユーザービリティを保つために、通常の投稿からキャンペーンを拡散するよう設計されています。ハッシュタグを用意して、ユーザーに動画を作成してもらうモデルとなっています。
多くのユーザーに動画作成、投稿の体験をしてもらうことで、エンゲージメント数を多く出せます。訴求先のユーザーに広告を視聴してもらうだけでなく、投稿を促進する施策となるため拡散される可能性も高く、ブランディングに向いています。
掲載枠は以下となります。
- 発見ページ
- プッシュ通知
- アプリ起動画面
- インフィード動画
計測データはバナーのインプレッション数、クリック数、#チャレンジページのページビュー、エンゲージメントしたユーザー数、動画投稿数、投稿動画も合わせたエンゲージメント数となります。
TikTok Adsの出稿する際の注意点
実際にTikTokへ広告配信する際に注意すべき点をお伝えします。
入稿不可のクリエイティブを知っておく
下記カテゴリに該当するクリエイティブは入稿を禁止されています。
- 動画配信、撮影、ライブ配信系アプリ
- SNSアプリ
- マッチング系アプリ
- ギャンブル、アダルト、風俗
- 医療機関、利用機器、医薬品、サプリメント
- ゲーム
- 金融サービス
- アルコール飲料、タバコ
- 芸能、音楽事務所のプロモーション
入稿期限を厳守する
クリエイティブの入稿が期限より遅れた場合や、入稿期限以降に修正をしたい場合は基本的に受け付けられず、配信内容も保証されません。また、入稿後にランディングページやアプリダウンロードなどの内容は変更できません。
さらに、申し込み後にキャンセルをした場合は原則100%キャンセル料を支払う必要があります。
保証インプレッションはあくまで目安
1日買い切り型で配信する場合、インプレッション数が保証以下の数値となった場合でも補填はされません。1日あたりのフリークエンシーが5回と設定されている一方で、TikTokは1人あたり1日あたりのアプリ起動回数は高い傾向にあります。そのため、同一ユーザーばかりに広告が配信されるというリスクは軽減されています。
広告代理店に相談する
TikTok Adsを出稿する際は広告代理店に依頼するのが良いでしょう。動画広告は静止画バナーやリスティング広告などと比べてインプレッション単価、クリック単価が高く出ます。期待する広告効果を得るためには広告プロダクトを理解した広告代理店によるプランニングを受けるのがおすすめです。
広告代理店に依頼した際は、出稿金額に対して一定割合の手数料を徴収されます。キャンペーンの規模や得られる広告効果と自社で運用する仮定でのコストとを考え、効率よくプロモーションできる方法を検討しましょう。
TikTok Adsで効果を出すためのポイント
予算をかけて広告出稿するのであれば、最大限に効果を出さなければなりません。最後に、TikTok Adsで効果を出すためのポイントについてご紹介します。
クリエイティブを縦長にする
TikTokは、スマートフォンなどのモバイル端末用に開発されたアプリです。ユーザーのほとんどはスマートフォンにて動画を投稿、再生しています。そのため広告クリエイティブもそれに合わせて縦長で作成しましょう。
クリエイティブはTikTokのユーザー向けに新しく用意するのがおすすめですが、他のSNSなどでの動画を使い回す場合もあるでしょう。1:1や16:9の動画を利用する際は、上下の空きスペースにテロップやブランドのロゴを表示するなどして質素にならないクリエイティブを心がけましょう。
目をひくクリエイティブを心がける
TikTokでは動画広告枠は長くても15秒程度です。そのため短い時間の中でユーザーにいかに興味を持ってもらうクリエイティブを作れるかが重要です。
キャッチーな振り付けやBGMを配信する
特に#チャレンジ広告で有効なポイントです。TikTokでは有名なアイドルやアーティストなどの振り付けを参考にした動画が拡散されることがよくあります。オリジナルのキャッチーなBGMと誰でも簡単に踊れる振り付けを公開することで、ユーザーに広告としての嫌悪感をなくしながらプロモーションを行うことができるでしょう。
インフルエンサーを活用する
インスタグラムや Twitterなどと同様に、TikTokもユーザー同士のフォロー機能が存在します。自社のアカウントを持つ際にはフォロワーが多いほど広告効果が高まります。
そのため、TikTokにおけるインフルエンサーを動画に活用することで自社アカウントのフォロワー数が少ない場合でもプロモーション効果を補完できます。
動画の質を向上させる
TikTokでは基本的に動画広告を配信します。ユーザーはTikTokプラットフォーム上のコンテンツを能動的に消費しますが、広告はその過程で挿入される形で配信されます。
そのため、配信される動画の質が低いとユーザーの離脱を引き起こし、届けたい情報を十分に届けられません。動画の質を向上させる上で重要なポイントは下記です。
ターゲティングのセグメントを見直す
クオリティの高い動画を制作したとしても、意図しないユーザーに配信されてしまうとそのユーザーにとっては質の低い広告と判断されてしまう可能性があります。そのため年齢層や地域など配信するターゲットセグメントを見直し、適切なユーザーに広告を配信できるよう心がけましょう。
周りにシェアしたくなるような動き、BGMを採用する
動画広告の利点は、クリエイティブが良ければシェアされる可能性が高い点にあります。現在中高生の間で流行している音楽や動画などの傾向を分析し、シェアされやすそうなクリエイティブ制作を心がけることが重要です。
おわりに
今回はTikTok Adsについて、概要や入稿方法、入稿時のポイントなどを解説してきました。
TikTokは女子中高生を中心に利用されているサービスであるため、企業はTikTok Adsに広告を出稿することで今までにアプローチできなかった層にブランディング、獲得の訴求を行うことができます。
TikTok Adsでは入稿期限後のクリエイティブ編集ができなかったり、申し込み後のキャンセルにキャンセル料が100%かかったりするなど、初めて入稿する企業にはハードルが高い可能性もあります。そのため、広告プロダクトに熟知している広告代理店に依頼しプランニングを受けることで無駄な工数、コストをかけることなくプロモーションを受けられる可能性があります。
TikTokは動画コンテンツのプラットォームであるため2019年以降、若者を中心に男女問わず流行する可能性があります。この機会にTikTok Adsへの出稿を検討してみましょう。