メディアを作るためにやっておきたいコンテンツプランニングとは
メディアとして何を作り上げようとしているのか、どのような役割を持つのか、どのように組み立てるのかをまとめるのがコンテンツプランニングになります。コンテンツプランニングは、メディアの説明書・設計図と考えるとわかりやすいでしょう。
コンテンツプランニングを行うことで、メディアの質をより高めていくことができます。
本記事では、コンテンツプランニングが必要な理由や行わない場合に起こりうるデメリット、コンテンツプランニングのやり方・手順について詳しく解説していきます。ぜひ自社メディアのコンテンツプランニングを行う際の参考にしてください。
目次
コンテンツプランニングが必要な理由
コンテンツプランニングを行うと、メディアとしての方向性や信念をメディア運営に携わる関係者に浸透させることができます。また、どの方向に向けて、どのような信念を持てばいいのかが明確になるため、コンテンツの内容を決めやすくなるとともに、メディアに統一感が出てユーザーに信頼感を与えることができるようになります。
コンテンツ制作に迷いがなくなることで、高い質を保ったまま制作スピードも上がっていくでしょう。コンテンツプランニングの一義的な目的はメディアの質を高めることにありますが、メディアの制作過程にもメリットをもたらします。
そのため、メディアを事業として運営する場合は、コンテンツプランニングを行うことは必須と考えてください。
コンテンツプランニングを行わない場合に生じるデメリット
コンテンツプランニングを行っていない場合は、メディアの説明書・設計図がない状態になるため、メディア運営に携わる関係者にとっては手探りでコンテンツ制作を行う状態になります。
仮に、リーダーや責任者の頭の中でどのようなメディアにするのか明確になっていたとしても、それを口頭で伝えるだけでは誤解が生じることもあり、伝わり方は受け取る相手によって変わることがあります。そして、メディア内のコンテンツの方向性にブレが生じ、統一感のないメディアとなる可能性が高まります。
また、コンテンツプランニングは大規模メディアを運営する場合だけに必要なわけではありません。メディア運営に携わる関係者が少ない場合でも、コンテンツプランニングは必要です。
なぜなら、コンテンツプランニングをされていないと、コンテンツ制作過程で個々人の感性や、意図がコンテンツに入り込みやすくなるからです。この個々人の感性や意図は、メディアの方向性や信念にブレを生じさせます。
コンテンツプランニングの手順1:目的を決める
コンテンツプランニングをする際に最初に取り組むのは「目的を決める」ことです。メディアを、どのような目的やテーマを持って存在させるのかを明確にします。
メディアの目的というのは、次の2点に絞って考えるとシンプルでわかりやすいです。
- 誰のために
- 何をするのか、何ができるのか
それぞれ、どのように考えていくのか確認していきます。
誰のために
大原則として、「いろいろな人に見て欲しい」では、メディアの目的を考えるには不適切になります。ある程度特定された誰かを「見て欲しい対象」として設定する必要があります。
具体的には、年齢や性別で区分する方法、趣味や悩みという共通項で区分する方法、これらを組み合わせて区分する方法があります。
例えば、「占い」に興味を持っている人に向けるのであれば、最低限「占いに興味を持つ男性」なのか「占いに興味を持つ女性」なのかを区分したほうが良いでしょう。
一般的には占いに興味を持つのは女性が多いため、占いに興味を持つ女性のほうがメディアとしては大きくなる可能性があります。しかし、限られた予算と人員でメディア運営するのであれば、あえて占いに興味を持つ男性向けのメディアとするのも検討する価値はあります。
ここから更に細分化するかどうかは、メディアにどの程度の力を注ぎこむかで変わってきます。
例えば、潤沢な予算と人員でメディア運営ができるのであれば、占いに興味を持つ女性全体を対象としたメディアを目指すことができます。しかし、そうではない場合は、東洋占術と西洋占術とに細分化することも可能ですし、その中でもタロットカードだけであるとか、星占いだけに絞り込むこともできます。
何をするのか、何ができるのか
引き続き、占いメディアを例に考えていきます。
「誰のためのメディアか」を検討した結果、占いに興味を持つ女性のためのメディアにすると決めたのであれば、占いに興味を持つ女性にどのような、利益を提供できるのかを考えていきます。
占いをしてもらいたい女性に対して、利益を提供するというのは大前提になります。
現在の占いに関するメディアが、本当に信頼できる占いを探すことが困難な状況であれば、信頼できる占い方法や、信頼できる占い師について根拠を持って提示できれば大きな利益を提供しているといえます。実際に占い師から、占いを受けた上でリアルな体験談を提供するのも良いでしょう。
占いを求める女性に対して、何を提供するメディアになるのかを徹底的に考えて方向性を定めていきます。
この方向性が、既存の競合メディアと被ることもあります。既存の競合メディアと、方向性が被るのは大きな問題ではありません。
しかし、既存の競合メディアを上回る利益をどのようにすれば提供できるのかは、シビアに考える必要があります。仮に既存の競合メディアと同じ方向性で同等の利益しか与えることができないのであれば、存在価値の薄いメディアとなってしまう可能性があります。
メディアとして早いスピードで、大きく成長できる可能性があるのは、既存のメディアと方向性が被っておらず、ユーザーに大きな利益を提供できるメディアになります。そのため、競合となる既存メディアの分析も、徹底的に行うことをおすすめします。
コンテンツプランニングの手順2:キーワードの選定
メディアの目的やテーマが定まったら、次に取り組むのはキーワードの選定です。
キーワードは、ユーザーがGoogleなどで検索を実施するときに、入力する文字を指します。占いに関するメディアであれば、『占い』や『タロットカード』などがキーワードになります。
キーワードの選定をどのように行うのか、順に説明していきます。
キーワードの洗い出し
目的やテーマに沿ったキーワードにどのようなものがあるのかを、徹底的に洗い出していきます。
最初の段階では、とにかく頭に浮かんだキーワードを書き出していきます。書き出したキーワードにどの程度の需要があるのかを、この時点で気にする必要はありません。
キーワードの洗い出しに躓いたら、Yahoo!知恵袋を利用するのも有効です。Yahoo!知恵袋で、目的やテーマとして設定した大きなワードを検索します。占いをテーマにするのであれば、『占い』で検索をすると、占いに関して世の中の人がどのような疑問を持っているのかを把握することができます。
複合キーワードを洗い出す
複合キーワードというのは、『占い タロットカード』のように複数のキーワードを組み合わせたものを指します。
複合キーワードは2語とは限りません。例えば『占い タロットカード 東京』のような形もあります。キーワードの数が増えるほど、検索上位に表示されやすくなりますが、検索ボリュームは少なくなります。
複合キーワードの洗い出しは、ツールで簡単に行うことができます。おすすめツールは、good keywordです。good keywordはダウンロードなど必要なくブラウザ上で利用できます。
例えば、『占い』という単独キーワードをgood keywordに入れて調べてみると、次のように複合キーワードが表示されます。
- 占い 無料
- 占い 2019
- 占い 当たる
- 占い 恋愛
- 占い 相性
- 占い魔女
上記は複合キーワードとして表示されたものを一部抜粋したものです。この複合キーワードを収集していきます。
単独のキーワードを数多く洗い出せていれば、ここで得られる複合キーワードも多くなります。そのため、この工程で複合キーサードを満足する数を得ることができない場合は、一つ前の工程に戻り、キーワードの洗い出しを再度行ってみてください。
キーワードの選定
複合キーワードの洗い出しを行った後は、そのキーワードに需要があるのかどうかを調べます。
キーワードの需要は、検索ボリュームを調べることで測ることが可能です。検索ボリュームは、Googleキーワードプランナーを利用することで簡単に調べることができます。
Googleキーワードプランナーを利用するためには、Google広告にログインする必要がありますので、未利用の場合はこの機会に登録するのをおすすめします。Googleキーワードプランナーを利用するだけなら、広告出稿する必要はありませんので費用はかかりません。
Googleキーワードプランナーを使って、検索ボリュームを調査すると、複合キーワードで洗い出した『占い魔女』は検索ボリュームが明らかに少ないことがわかります。『占い魔女』が顕在キーワード、つまりコンバージョンや契約につながるキーワードであればよいですが、そうではない場合『占い魔女』の複合キーワードでコンテンツを制作する必要はないということが把握できます。
このように、検索ボリュームを調査することで、検索ボリュームの多いキーワードについては優先的にコンテンツとして制作していくという予定を立てることが可能になります。また、検索ボリュームの多いキーワードについては、そのキーワードに関連するキーワードのコンテンツも合わせて制作することで、狙ったコンテンツを検索上位にあげる可能性を高められます。
検索ボリュームがない(もしくは少ない)キーワードを捨て、検索ボリュームが一定数あるものを残すという判断を行います。
コンテンツプランニングの手順3:構造を決める
ここまでの手順を踏むことで、メディアの目的・テーマが決まっており、取り組むべきコンテンツの元となるキーワードも把握できている状態になります。
最後に、制作するコンテンツをメディアの中でどのように配置するのかを考える必要があります。コンテンツをどこに配置するかを決めるためには、メディアの構造を先に決める必要があります。
メディアの構造は、メディアの顔となるトップページからツリー型に情報が広がっていく形が理想的です。
ここでも「占い」をテーマにしたメディアを例にして、考えてみます。
トップページは、このメディアがどのように占いに関するコンテンツを扱っているのか、ユーザーにどのような価値を提供しているのかを明確にわかるようにします。トップページで、コンテンツプランニングで固めた方向性や信念をユーザーに伝えます。
そして、トップページから「東洋占術「西洋占術」と二つのカテゴリページをぶら下げます。そして、「東洋占術」「西洋占術」の下には、「おすすめの占い師の情報」や、「体験談」などのカテゴリを更にぶら下げていきます。
こうしていくと、メディア全体がツリー型に情報が広がっていく形で構造ができあがります。作成したコンテンツをどこに置くのかも、メディア構造ができていると簡単に決めることができます。
コンテンツプランニングを行う上での注意点
冒頭で、コンテンツプランニングはWeb上で運営するメディアの説明書・設計図と説明しました。
しかし、商品の説明書や設計図と異なる点として、コンテンツプランニングは機会あるごとに見直して、修正を加えていくことも必要となります。つまり、コンテンツプランニングは、メディア立ち上げ前に一度行うだけで終わるのではないということです。
綿密にコンテンツプランニングを練って、メディアを運営しても思ったような成果を得られないこともあります。そのようなときは、コンテンツプランニングに穴がないかを疑うことも必要となってくるからです。
「占いに興味がある女性」のためのメディアとして、運営していたしても、この分野が激戦区の場合はコンテンツプランニングをし直して、「占いに興味がある20代の女性」のためのメディアと定義しなおすことを検討したりします。
その場合、コンテンツの内容も見直す必要が出てきます。簡単な作業ではありませんが、目的を果たせないメディアでは意味がありません。そのため、メディアの結果が出ていない場合は大幅なメディアの体制変更も視野に入れて取り組む必要があります。
おわりに
メディアは行き当たりばったりで運営していると、まぐれ当たりを期待するしかない状態になります。そこで、コンテンツプランニングを行うことで、まぐれ当たりではなく、実際にある需要を捉えて、そこに合わせたコンテンツを投入することでメディア運営を軌道に乗せることができます。
これからメディア運営を開始する場合は、ぜひコンテンツプランニングを行ってみてください。コンテンツプランニングに取り組むことで、これまで見えていなかった、ユーザーの求めるものが見えてくるはずです。